2025年9月1日に株式会社imakaraを設立しました。
実際に会社設立の手続きを開始したのは8月中旬でしたので、約2週間ほどでの法人設立でした。これから起業する方々、起業を考えている方々にとって少しでも参考になればと思い、会社設立の経験をシェアさせていただきます。
目次
1. 起業背景と、株式会社にした理由
2. 事業内容と、会社名「imakara」に込めたビジョン
3. 起業手続き:会社設立までの仕方・手順と費用
会社設立の仕方・手順と費用
利用したサービス
4. まとめ:起業により選択肢を広げる
記事公開日:2025年10月21日
最終更新日:2025年10月24日
20代の頃からいつか起業しようとは思っていましたが、会社員としてやり甲斐の大きい、数多くの機会を国内外でいただき、全力で仕事に打ち込むうちに、43歳になっていました。
「起業するのであれば社会課題の解決に貢献できる、大きな事業を創りたい」とずっと考えていましたが、何かを成し遂げるには一定以上の年月が必要です。あと7年で50歳かと感じ、自分の年齢を考えると、なるべく早いタイミングで起業するべきだと思いました。
母は18年前に亡くなりましたが、父も1年前の2024年秋に亡くなり、両親がいなくなったことで、自分の人生をこれからどうするか、深く考えることが多くなったことも、起業に至った背景として大きいです。
また、2025年に入ってからの生成AIの進化もタイミングとして大きいです。ノーコードツールとOpen AIやGeminiを連携させると、コードが書けなくても、プロンプトさえしっかり作ることができれば一定のレベルまでのプロダクトを創ることができます。
私自身コードは書けませんが、実際に今年のゴールデンウィークに、高田馬場のカフェで初めてAIで動くWebアプリを自分で創ることが出来た時は、本当に驚きました。「あれ、作れちゃった!」という感覚です。
これなら初期検証までは自分自身でもスピード感を持ってプロダクト開発を進められますし、組織・体制を創ればかなりのことができるのではないか、そして、今あるサービスもこれから大きく変化していかざるをえないだろうと直感的に感じました。
自分自身の考えの深化、そしてAIに関連する外部環境の変化により起業を決めました。起業する以上は、大きな事業を創りたいと決めていましたので、合同会社や個人事業主ではなく、株式会社の形態にしました。
日本橋公証役場(奥の建物内)に定款認証手続きへ行った際の写真
事業内容として、これまでの経験を活かした経営企画やマーケティング業務の受託から始めれば、まずは外部資金や融資に頼らず、会社員での収入を維持できることは見えていました。これまで仕事をご一緒した方からのお声がけばかりで、これまで真面目に、真剣に仕事に打ち込んできて、本当に良かったと思いました。こうしたご縁は本当に大切にしないといけません。
こうしたこともあり、まず受託業務でスタートし、同時に事業開発の時間を確保して社会課題の解決に貢献できる事業を創る、という進め方にしました。事業開発にあたってはこれまでの経験やスキルの活きる、インターネットメディアかアプリ上のサービスで、サービス内容は調査・検証を経た上で決めていきます。実際にこの記事を書いているのは起業2ヶ月目の2025年10月ですが、仮説に対する調査・検証が進んでおり、期限を区切って決める予定です。
その一方で、ビジョンは先に策定し、そのビジョンに沿った社名「imakara」を決めました。
「株式会社imakara」のビジョン
人生100年時代と言われる現代、不確実な未来に不安を持つ方は多いです。
社会の変化は大きく、人生もいつ何が起きるか分かりませんので、正確な未来は予測できず、不安に拍車を掛けるものです。
ただ、どんな未来も、「いまの行動で明日が変わり、人生が変わる」と言えます。
私たちは事業を通して「今以上に、希望の持てる未来」を実現していきます。
より良い未来は「いまから」です。
会社設立は、大きな流れとして以下の手順で進みます。設立する会社の形態や目的、体制によっても必要な費用は変わるかと思いますが、株式会社imakaraの場合、合計で約60万円ほど掛かりました。
会社設立の全体を通して、freee会社設立(無料)を利用しましたが、フォームに入力すると必要な書面が出来上がり、以下キャプチャの通りに具体的なステップも示されるので、とても便利でした。オンラインで2回、アドバイスをいただける機会もあり、よく分からないところも解決できました。
①. 定款作成
定款作成にあたってはこの5点が決まっている必要があります。
freee会社設立では、電子定款作成を行政書士法人にオンラインで依頼し、受け取ることができます。(ここは有料ですが、条件によっては特別なご案内もありますのでご確認すると良いかと思います)
定款内容は今後、履歴事項全部証明書に記録として残っていきますので、しっかりと決めるべき内容かと思います。ここも、freee会社設立のアドバイスで色々と相談できたことで、疑問点や不明点をすぐに解決できたので良かったです。
②. 公証役場での認証
当日に必要な手数料は公証役場により異なるそうですが、私の場合、41,100円でした。
ここで必要な書類もfreee会社設立を利用して作成することができます。
③. 法務局への登記申請
この登記申請日が「会社設立日」になります。
一部のWebサイトには「法務局には前日までの予約が必要」と書かれていますが、書類が揃っていれば、予約は不要です。予約無しでそのまま手続きが出来ました。当日、登録免許税として15万円が必要です。
株式会社imakaraの場合、9/1(月)に東京法務局で申請し、9/5(金)に登記完了しました。
登記完了すると、国税庁 法人番号公表サイトに以下関連リンク先ページのように掲載されます。登記した住所はこのようにWebで開示されますので、安全面などを考えると、自宅住所ではなくしっかりと法人用の住所を用意した方が良いです。
関連リンク)株式会社imakaraの情報(国税庁 法人番号公表サイト)
④. 年金事務所への届出
一部のWebサイトには、法人設立日(登記申請日)より5日以内に年金事務所で手続きを行う必要があると書かれています。
年金事務所への書類提出は、履歴事項全部証明書が必要ですが、登記完了後でないと発行できず、この登記完了までに5日以上かかることもあります。
個別に年金事務所に電話で確認をした方が良いと思われますが、私は年金事務所に電話して問い合わせ、「登記完了に5日以上かかる場合は、登記完了後での年金事務所への書類提出で問題ないです」と伺いました。
⑤. 税務署への届出
⑥. 都道府県税事務所への届出
上記の通り、会社設立に必要な手続きと書面作成を進めることができます。もし、freee会社設立がなかったら、2週間での法人設立は無理だったと思います。freee会社設立の利用料は無料です。
一人法人での起業ですので、管理業務はできる限り圧縮して生産性を高めたいと考えました。前職でfreee会計を利用し、使い方が分かっていることもあり、freee会計にしました。必要な機能・オプションを付けて、年額 72,336円(税込)でした。
これと合わせて、クレジットカードや申告、人事労務等の必要なサービスもfreeeで揃えると全て連携して管理業務がスムーズになります。
一期目の時点で税理士に業務をお願いするほどの規模にはならないだろうと考えて、freee会計の内容をそのまま申告できる利便性を重視して、freee申告を導入しました。年額 53,680円(税込)でした。
自分自身の健康保険や社会保険等の計算、また正社員や業務委託の方を雇う際にその仕組みが整っていないと大きな問題になるリスクもあると考え、こちらも導入しました。
人事労務で失敗はできないので、一期目は専門家にいつでも相談できる体制を整えるべきと考えて、電話サポートのオプションを付け、合計で年額 65,736円(税込)でした。
電子公告も自分でやると手間になると考えて、freeeで導入しました。年額 4,378円(税込)でした。
会社名を冠したサービス名とする際に、商標が取れていないと後々のリスクになるので、オンラインで商標取得の完結できる「Toreru」で、商標出願中です。
8月に出願しましたが、8ヶ月程度かかる可能性もあるので焦らずに待ちたいと思います。
商標調査までは無料、そこから出願を依頼する時点で費用をお支払いする形になり、1区分あたり49,000円です。(調査時点で、出願する場合はToreruを利用することが条件です)
オフィスはまずは一人でのスタートですので、シェアオフィスを活用しています。自宅最寄駅にも拠点があり、首都圏を中心に拠点数の多いところ、となると、BIZ Comfortの一択でした。「全拠点プラン」という全国180拠点が使い放題で、登記住所+郵便ポストのオプションをつけて、1ヶ月27,500円(税込)です。
外出先や気分に合わせて働く場所を自由に決められると、集中力が高まり、とても良いです。
1点、実は失敗したことがあり、それは最初に登記した拠点で、郵便ポストに空きが無かったことです。銀行口座開設や社会保険の手続きにあたり、登記住所に郵便物が届くことは必須ですので、会社運営に必要な手続きができません。このため、設立直後に登記住所を変更しました。
基本的なことではあるのですが、シェアオフィスやバーチャルオフィスを登記住所として起業される場合は、郵便ポストが利用できるかどうかをしっかり事前に確認した方が良いです。
コーポレートサイトや会社紹介資料に載せる、自分自身の宣材写真を高田馬場のSTUDIO250で撮影しました。設立ばかりの会社は写真やイメージで全く印象が変わってきますので、宣材写真は撮影するべきだと考えて、都内で良さそうな撮影スタジオをGoogleで検索して探しました。
30-50カットで8,800円(税込)とお手頃な価格ですし、仕上がりも良かったです。データはDropboxで全ていただけました。
メールやカレンダー、ドキュメント等含めて、一通りのサービスを利用しており、今のところ月額 6,380円です。利用アカウント数やサービス内容によって料金が変わってきますので、必要な内容に応じて確認すると良いかと思います。
また、Webサイトのドメイン取得は、Google Workspaceと連携しているSquare Spaceを利用しました。
コーポレートサイトの制作はノーコードツールのStudioを利用し、設立日の9/1に公開し、友人や知人に公開しました。実際にそこからお問い合わせがあり、受託業務も増えており、事業への貢献度は大きいです。
ただ、問題点もあり、デザインはとても良いのですが、SEO(検索最適化)にやや弱いということにSearch Consoleで検証するうちにわかり、使い慣れているNicepageに10月にサイトを移管しました。デザインはやや劣りますが、SEOを優先させた、というところです。
私の検証する限り、以下参考リンクにある内容はその通りだと考えています。
参考リンク)SEO・LLMOに弱い「Studio」|成果重視なら導入は慎重に
法人印は、はんこ屋さん21で作りました。時間のない中でしたので、納期が早く、前職オフィスからも近い、ということでの選定でした。
壁打ち相手として活用しており、優秀な秘書が一人いる感覚です。全てをそのまま信じることができず、必ずチェックが必要になりますが、会社設立の際もちょっとした確認でよく利用しました。
特に資本金と株式数をどう設定するかに関しては色々な事例と共に、将来の会社のありたい状態に対してどのように設定するべきか、シミュレーションしながら決めることができたのは大きかったです。
株式会社imakaraはまずは100%自己資金で、外部資金は入れずに設立しました。
以前であれば、管理部門の方を最初から採用したり、あるいは、専門家に依頼しないと進められなかったようなことも、今はツールを活用することで、一人でもオンラインでかなりのことを行うことができ、本当に便利な時代になったのだと感じました。
出来る限り事業に集中できるように色々と調べて進めてきましたが、あくまでも私の場合に良かった内容で、しかも、試行錯誤しながらの進め方でした。
もちろんもっと良い方法もあるかと思いますし、会社形態や事業内容・体制によっても最適な進め方は違うかと思いますが、もし何かの参考になりましたらとても嬉しいです。
私のようにいきなり独立・企業ではなくても、会社員として副業での起業(個人事業主・合同会社・株式会社、それぞれの選択肢があります)など、起業にも色々な選択肢があります。
いずれにしても、起業は、何をして働くか・誰と働くか・どこで働くか・収入をいくらとするか(いくらにできるか)を自ら決めることができ、選択肢を広げることのできる道だと実感しています。
「imakara知る」は株式会社imakaraが運営しています。
株式会社imakaraは2025年9月創業、大学発のスタートアップ・ベンチャー企業、先端技術を保有するディープテック企業の成長を、経営企画・マーケティングで支援しています。また、人生の選択肢を広げるWebアプリ「imakara」を開発しています。